「青い目で足が速く、乳がんになるリスクが低い子どもが欲しい――。親が望む特徴をもつ赤ちゃんを作る「デザイナーベビー」につながる遺伝子解析技術が考案され、米国で特許が認められた。自分と、精子や卵子の提供候補者ごとに遺伝情報を解析して、望み通りの子どもが生まれる確度を予測するシステムだ。科学者からも「倫理的に大きな問題」と批判が出ている。
特許化されたのは、米国の個人向け遺伝子解析会社の大手「23アンドミー」(本社・米国カリフォルニア)の手法で、米特許商標庁が9月24日付で認めた。」
上記記事によると、複数の精子等提供候補者と自分の遺伝子情報から、仮に結婚したら生まれてくるであろう子供についてその癌リスク、寿命、目の色などの各項目ごとに予測値を提示して結婚相手選びを支援するサービスに関する特許のようです。
追記:上記は上の朝日新聞だけを見て推測したのですが、その後の複数の記事を見ると、「複数の結婚相手候補の中から1人の相手を選ぶ」のではなく、「不妊治療で精子や卵子の提供を受ける際に親の希望する特徴を備えた子供が生まれるよう、不妊治療中の親が複数のドナー候補の中から1人のドナーを選ぶ」ときの選択を支援するシステムを主として想定しているようです。ただ、まぁ、複数の結婚相手候補の中から誰を選ぶかと、不妊治療において複数の精子又は卵子のドナー候補の中から誰を選ぶかとで本質的な違いはなく、「そのような選択を支援するために遺伝子解析情報からどのような子供が生まれるかを複数項目について推測して提示する」というのが発明の本質的部分でしょう。
従来からある複数の結婚相手候補(追記:又は精子や卵子のドナー候補)の年収、身長などの各項目を点数化し総合得点から推奨相手を提示するというようなサービスと似た発想で、違うのは従来の年収や身長などの項目に代えて又は付加して、自分と相手候補の遺伝子解析情報からもし結婚したら(追記:又はもしそのドナーから精子若しくは卵子の提供を受けたら)生まれてくるであろう子供の特性を予測するというもので、この点に特許性が認められたのでしょう。
確かに、このようなサービスは、使い方によっては深刻な差別などを引き起こす可能性はあります。
しかし「特許された」ということは、単に、そのようなアイデア(技術的思想)が特許庁の公報などで公表されそのアイデアに最先性(特許性)が認められ独占権が発生したというだけのことで、実際に商品化されて現実の世界で差別が生じるか否かは別の問題です。
もともと特許というのはそのようなものに過ぎないので、特許審査では予想される倫理的問題などは容易にスルーされてしまうのが実際ですし、それで問題ないと思います。