2010年06月04日

ソフトウェアは実用新案では保護されない?

ネット上では、「ソフトウェアは実用新案では保護されない」という記述が幾つかあるため、それを見た人からそうなのか?と聞かれることがたまにあるので、それについて書きます。
ソフトウェア関連発明を特許出願する場合のカテゴリまたは名称(=特許請求の範囲の末尾の文言)としては、次の4つがあります。
(1)システム(コンピュータシステム、装置)
(2)方法
(3)プログラム
(4)プログラムを記録した記録媒体
これらの中で、実務的には、(1)のシステムが5〜7割、(2)の方法が3〜4割、(3)のプログラムと(4)の記録媒体がそれぞれ1〜2割くらいかなと思います(正確な統計はみてませんが感覚として)。例えば一つの出願で、請求項1をシステムとし、請求項2,3,4を方法やプログラムや記録媒体とするなどの形が多いと思います。
(3)のプログラムは、確か10年以上前ですが、審査基準や特許法の改正で「物の発明」の一形態として認められたものです。
そして、特許ならば(1)〜(4)の全てが可能ですが、実用新案では(2)〜(4)は保護対象外とされています。
「ソフトウェアは実用新案では保護されない」というときの「ソフトウェア」という言葉は、上記(3)の「プログラム」の意味で使用されているのでしょうね。その意味に限れば「ソフトウェア(=プログラムという意味)は実用新案では保護されない」は正しいと言えます。
しかし、ソフトウェア発明やビジネスモデルを特許出願するときは、通常は「・・・を特徴とする○○システム(コンピュータシステム、装置)」という形で出願され登録されることが最もポピュラーであり、そのような「・・・システム」という形ならば、ソフトウェア発明やビジネスモデルも、特許か実用新案かを問わずどちらでも登録可能です。
システムは「部品の構造又は組合せ」(実用新案法1条)と言えますし、システムはソフトウェアとハードウェアが協働して生成されるものだからです。
その意味では(システムという形で出願する場合は)、ソフトウェア発明やビジネスモデルも実用新案で保護され得る、と言えます(なお、このような実用新案登録が実際のビジネスでどういう意味を持つのかはまた別の問題ですが・・・)。
※上記(4)など一部追加しました。
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posted by mkuji at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ソフトウェア発明