2013年01月02日

明けましておめでとうございます(発明の歴史など)

明けましておめでとうございます。
正月はいつも興味のある発明のこと(発明の歴史・方法論など)を考えます。
今の発明の方法論としては、@昔ながらの個人の頭の中のヒラメキ(特にトイレや風呂に入っているときなど)、Aブレーンストーミングなどによる集団発明、BTRIZ(トゥリーズ)などの発明支援装置の利用などが代表的なものだと思います。
改良発明では上記AやBもかなり有効と思います。

最近は、一部の大手企業や中小企業がブレーンストーミングで発明を創出して商品化の予定がなくてもとりあえず出願するという動きもあるようですが、それは、つまり、企業が主婦などの個人発明家と同じような動きをしている(発明会社のような活動をしている)ということになりますね。

今から100年少し前の19世紀後半はエジソンやライト兄弟などの町の発明家が大活躍していた時代なんですよね。
あの頃は、まだ科学よりも技術がずっと先を走っていた時代で、ベンツ(3輪自動車・1885年)、ダイムラー(4輪自動車・1886年)、ベル(電話機・1876年)、エジソン(蓄音機・1877年。電灯・1879年)、ライト兄弟(有人動力飛行・1903年)など、当時活躍した発明家のほとんどは、大組織の人間ではなく科学者でもない町の技術者で、ライト兄弟などは小さな自転車屋をやりながら試行錯誤で飛行機を作っていた訳です。

それが、科学が技術を先導する「科学技術」の時代に徐々に変わって行き、今、社会的意味のある発明のほとんどは大企業や大学の研究所から生まれており、町の発明家の時代はとうの昔に終わったと言われるのは、確かにそうなんでしょう。
ただ、これからは、安価な3Dスキャナーや3Dプリンタの普及などで個人でも気軽にハード・メーカーになれる時代になる(クリス・アンダーソン著「MAKERS」)ということからは、また少し違った方向に進む可能性もあるのではと思います。

posted by mkuji at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 発明の歴史

2012年01月04日

文化を変えた発明たち(銀板写真の発明)

 1839年にフランスのルイ・ダゲールが発明した「銀板写真」は、瞬く間に肖像写真として広く普及しました。その結果、当時のステイタスであった肖像画は見捨てられ、絵画産業は壊滅状態に陥りました。その後、パリの画家たちは、写真とは違う絵画独自の表現方法を模索し、1874年、第1回印象派展を開催し、印象主義を掲げました。

 この「銀板写真」のように社会や文化を大きく変えた発明というのはそんなに多くありませんが、やはり発明に関わる多くの人たちは、「世の中を変える発明」を目指していると思います。近年の例では、ウォークマン、カラオケ、インターネット、携帯電話、電子マネー、iPhone、SNSなどでしょうか。

 ダゲールは元は画家だったのですが、ウォークマンのアイデアを井深大氏と一緒に出した盛田昭夫氏やiPhoneなどを世に出したスティーブ・ジョブズも純粋な技術者ではなかった点は、面白い共通点かなと感じます。

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posted by mkuji at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 発明の歴史

2010年07月05日

ルネサンスの3大発明と古代中国の4大発明

現代ビジネス 松本大 マネックス証券社長インタビュー http://gendai.ismedia.jp/articles/-/785?page=3

産業革命以前、世界のGDPは人口分布と一緒でした。個人消費が経済の大部分だったからです。17世紀は中国とインドで世界のGDPの3分の2を占めていました。

それが産業革命によって情報と技術が一部の欧米諸国に集中し、世界の富も中国やインドからこちらに一気に移動した。ところがインターネットが普及したことで、今度は情報も技術も世界中で格差が無くなった。結果として人口分布が再びGDPを決定する時代になると私は考えています。

これを言うと怒られそうだけど、中国が世界の経済大国になるのは、なにも中国が特別なことをしているというわけじゃなくて、単に人口がよそよりも多いというだけのこと。


世界史に詳しいわけではないですが、4千年の歴史の中で中国はほとんど世界の中心でナンバー1の経済大国で、19世紀前半のアヘン戦争(1840年)の前頃から現代までの約200年間(18世紀後半に始まった産業革命から現代までは約250年間)が例外なだけで、20年後にGDP世界1位になるとしても、それは悠久の歴史の流れの中では普通の状態に戻るだけだと思います。
活版印刷術、羅針盤、火薬が14〜15世紀のルネサンスの3大発明と呼ばれてますが、どれも、ずっと前に中国で発明されていました。
活版印刷術は、11世紀の北宋で行われていた記録があるようです。15世紀のグーテンベルク(ドイツ)による活版印刷の発明は、中国の活版印刷術とは全く無関係に発明されたものだとみられているようです。
羅針盤も、11世紀の宋の時代に、磁石の針を水に浮かべるという羅針盤の原型が発明されていました(「磁石」そのものは古代ギリシャで発見されていた)。この中国の羅針盤はペルシャ人を介して西洋に伝えられ、大航海時代、コロンブスの新大陸発見などに繋がりました。
火薬は、もっと古く、6〜7世紀の唐の時代に発明されていたと言われています。
ちなみに、紙・印刷術・羅針盤・火薬は、古代中国の4大発明と呼ばれています。
紙は、中国では紀元前の前漢時代に既に発明されていたようです。
文字を書き記すためのものとしては、古代バビロニアでは粘土版、古代エジプトではパピルス、古代ローマではパピルスと羊皮紙が用いられていたようです(中国では木簡、竹簡なども用いられていた)。
参考:http://www.chinaviki.com/china-culture/Four-Great-Inventions/index.html
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posted by mkuji at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 発明の歴史

2010年01月04日

人々を失業させてきた発明たち



riverrun past...によると、「写真の発明が、肖像画産業を壊滅させ、絵画の世界に印象派が登場する遠因となった」そうです(以下に引用。ウラは取ってませんが時系列的には頷けるところです)。



1839年のダゲールの発明に端を発した写真技術は、たちまちのうちに普及した。肖像画産業が壊滅状態に陥り、多くの職業画家が仕事からあぶれた。


1874年、モネをはじめとするパリの画家たちが「第1回印象派展」を開催する。細部やタッチにこだわらず、新たな空間表現と明るい色使いを多用した印象主義は、「見たままを描く」のみではなく、「感じたままを描く」芸術へと絵画の方向性を決定付け、これは現在にも引き継がれている。(中略)


基本的に、写真というのは、映像の記録であると同時に、大量印刷が可能なメディアであるからだ。画家たちの失業は、写真の正確な描写に太刀打ちできないこともさることながら、「画」のインフレーションによって賃金相場が低下したことによっても駆逐されたのである。



この記事の中では、1950年代にも、レコードの普及によって流しの歌手や演奏家が仕事を失ったことが紹介されています(「流し」なんて最近の人は知らないでしょうね^^;)。


まぁ当たり前のことですが、発明と失業は相関性がすこぶる高い(発明が新たな雇用を生むという面もありますが)。


15世紀にグーテンベルクが発明した活版印刷もその一つ(なお、15世紀というのは西洋世界の話で、中国では既に11世紀に発明されてました)。この活版印刷によって、それまでは教会にしか無かった聖書が印刷されて一般に普及したために、それまでの教会の現世的権力が破壊されました(ルターの宗教改革)。


イギリスでは、18世紀の産業革命の後、失業の原因は機械だとして、1811年から数年間、労働者のラッダイト運動(機械破壊運動)が展開されました。


近年のiTunesや電子書籍の登場によるCDショップや書店の苦境なども、同じようなものですね。


これから起こり得るものとして最も影響が大きいものの一つが、電気自動車の登場による自動車産業の裾野の縮小だと思います。今のガソリンエンジン車の部品点数は約3万点なのに対して、電気自動車は約6千点だそうですが、だとすると、単純計算で今の車の部品の5分の4が不要になってしまう訳で、大変なことです(バッテリーが量産されて行けばクルマの価格も5分の1くらいになるでしょうから、自動車業界にとっては望ましくない未来ですね)。部品点数が約4万点とされるハイブリッド車の時代がある程度続いてくれればその間にソフトランディングできるんでしょうけど、10年後には世界中で電気自動車比率が3割に達するという予測(日本電産の永守重信社長)もありますので、余り時間はないのかもしれません。


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posted by mkuji at 01:23| Comment(10) | TrackBack(0) | 発明の歴史