「実施」の定義を定めた特許法2条3項1号の文言については、ずっと疑問に思っていたことがありました。
特許法2条3項1号の条文では、物の発明の実施とは、
「生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出」だとしています。
ここの「輸出」と「輸入」の間の「若しくは」が入っている理由は何か、「若しくは」が入ったために何がどう違ってくるのか、が昔からよく分かりませんでした。
「若しくは」は「又は」より低いレベルで使うということは知っていましたが、それでも、この条文のように、
「生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出」とするのと、この中の「若しくは」を除いて、
「生産、使用、譲渡等、輸出、輸入、又は、譲渡等の申出」とするのとで、何か違ってくるのか、よく分かりませんでした。
それで、あるとき、弁理士向けの電子掲示板で、このことを質問してみました。
すると、詳しい人から、次のような答えが帰ってきました。
それによると、
「若しくは」を除いて、
「生産、使用、譲渡等、輸出、輸入、又は、譲渡等の申出」とすると、
「生産、使用、譲渡等、輸出、輸入、又は、譲渡等」が「の申出」に係ると解釈されてしまう余地がある。
これに対して、
「若しくは」を入れて、
「生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出」とすると、
「生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入」と「譲渡等の申出」とが並列になるため、
「生産、使用、譲渡等、輸出、輸入、又は、譲渡等」が「の申出」に係ると解釈されてしまう余地が無くなる。
だから、「生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出」とすることが必要なんだ、という答えでした。
聞いてみるともっともなんですが、これで、私も、やっと、納得できました。
親切な人が多いですね^^
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