2012年08月19日

知財訴訟大国・中国

パテント2012年8月号の「特許紛争のより適正な解決の模索」というシンポジウム(東京弁護士会主催)の記事中に侵害訴訟の統計的なものが紹介されていましたので、メモしておきたいと思います(以下では上記の記事からではない情報も含めています)。

日本における特許侵害訴訟(審決取消訴訟は除く)は年間150件程度と少ないのに対して、訴訟大国と言われる米国の特許侵害訴訟は年間約3千件です。

しかし、今の中国を米国と比較すると、商標や著作権を含めての訴訟件数は中国が米国の3倍ということです。そして、技術に関する特許の侵害訴訟(実用新案権の侵害訴訟も含めていると思われます)だけを見ても、中国では米国の1.5倍くらいの訴訟が起きており、大変な訴訟大国になっているということです。中国では、実体審査なし(無審査)で成立する実用新案権の侵害訴訟も増えているそうです。

中国の実用新案権は、無審査とはいえ、進歩性の基準が低いため、訴訟になったとき無効にできないものがかなり在ると言われています。

中国は、特許出願件数でも、2010年には日本を、2011年には米国を抜いて、世界1位になっていますね。

世界の国別特許文献の割合として、昔(日本の特許出願件数が世界で1位だった頃)は世界の特許文献の65%が日本語文献だったが、現在、日本の特許文献の比率は24%まで落ちていて、中国や韓国の文献の比率が急激に伸びているそうです。
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2009年11月27日

中国の知財制度



本日参加したセミナーで中国の知財侵害などについて話を聞いた(講師は谷口由記弁護士)ので、幾つか、纏めておきます。


1 侵害の警告をするときは、日本のような内容証明郵便はないので、通常の書留郵便でやる(特許公報などを同封する)、とのこと。


2 司法制度は、人民法院(第1審)と人民法院(上訴審)との「(三級)ニ審制」で、極めて重要な案件は最高人民法院が第2審となり、このときは、最高人民法院が事実審も行う。


 ※日本は「(四級)三審制」で、最高裁は事実審はなく法律審のみ(「四級」とは、簡裁、地裁、高裁、最高裁の4つのレベルという意味)。


3 発明・実用新案・意匠は、いずれも専利法により「専利権」として保護され(発明・実用新案・意匠により保護期間などは異なる)、日本の弁理士に当たる専利代理人が代理する。商標については、日本の弁理士に当たる商標代理人の資格は無くなったらしい(ただ、復活させようかという動きもあるらしい)。


4 出願・登録機関のまとめ


・発明・実用新案・意匠の出願・登録機関:「国家知識産権局(特許局・特許復審委員会)」


・商標・馳名商標の出願・登録機関:「国家工商行政管理局(商標局・商標評審委員会)」


・著作権およびコンピュータソフトウェア著作権の登録機関:日本と同様にベルヌ条約に加盟しているので任意登録(登録が権利発生要件ではない)だが、登録機関は「国家版権局(版権保護センター)」および「ソフトウェア登録センター」


・企業名称(日本の商号)の登録機関:「企業名称登記管理部門(各級工商行政管理局)」


・ドメインネーム(域名)の登録機関:「中国インターネット情報サービスセンター(CNNIC)」


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posted by mkuji at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国