2010年05月18日

「仮面ライダーキバ」マスクの無断ネット販売は著作権法違反(侵害とみなす行為)

産経ニュース 2010/5/13 「仮面ライダーキバ」マスクをネットで無断販売、1千万円稼ぐ 容疑の男逮捕

仮面ライダーのマスクの複製品を無断で販売したとして、千葉県警生活経済課などは13日、著作権法違反(侵害とみなす行為)で、千葉県銚子市、会社員(33)を逮捕した。(中略)

 容疑者は、タイの工場からマスクを輸入して、平成20年1月ごろから、オークションへの出展を開始。「キバ」以外にも歴代の仮面ライダーのマスクも手がけ、昨年1年間だけでも約400個を販売し、約1000万円の売り上げを得ていたという。


千葉県警が押収した仮面ライダーのマスクの複製品の画像(上の記事より引用):
f:id:mkuji:20100517140633j:image
マスクを自分で複製したのなら著作権の「直接侵害」ですが、この容疑者は他人が外国で複製した物を輸入して頒布(販売・譲渡等。著作権法2条1項19号)しただけなので、「間接侵害」の一類型である著作権法113条1項1号の「頒布する目的をもって輸入」、同2号の「情を知って頒布」という「侵害とみなす行為」に該当するとされたのでしょう。
一般に、「マスク」には、「実用品のマスク」(風邪を引いたときなどに使うもの)や「顔」などの意味があります。
もし、TVドラマの主人公が愛用している実用品の「マスク」や「ヘルメット」の模造品を輸入・頒布したという事例だったなら、そのような「マスク」や「ヘルメット」は実用品(玩具を含む)に過ぎない(そして、そのような「マスク」や「ヘルメット」などの実用品のデザインには純粋美術と同じような著作物性はない)ので、そのような「マスク」や「ヘルメット」という実用品(玩具を含む)を製造することは、たとえそのデザインが模倣によるものだとしても著作権侵害に該当しない(そのマスクやヘルメットが既に正規に販売されていれば不正競争防止法違反に該当したり、意匠登録がなされていれば意匠権侵害に該当する可能性はあるとしても)という議論はあり得たと思います。
しかし、上の画像を見れば分かるように、今回の「仮面ライダー・キバのマスク」は「仮面ライダー・キバというキャラクターの顔」そのものと言えるので、その絵には著作物性が肯定され、そのようなマスクの絵を立体物へ加工すること(翻案)は著作権の直接侵害行為となるので、そのような行為により作成された物を輸入・頒布する行為は法113条の「侵害とみなす行為」(間接侵害の一つ)に該当するという論理は、妥当なものだろうと思います。
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posted by mkuji at 11:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 著作権
この記事へのコメント
このニュースを見て、買う人いるんだ?って思いました。。。
Posted by hikasu at 2010年05月18日 15:41
hikasuさん<br>こんにちは<br>まぁ安ければ買うんじゃないでしょうか、露天の夜店なんかで。<br>売上1千万で、半分以上、利益でしょうね。<br>仮面ライダー、アギトまでは見てたんですけどね^^;
Posted by mkuji at 2010年05月18日 16:09
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