CNET Japan (吉澤亨史) 2010/03/02 海外ストレージサイトで違法音楽配信、初の逮捕者
北海道警察本部生活安全部生活経済課および北海道札幌方面中央警察署は3月1日、社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)が管理する楽曲の音楽ファイルを海外のストレージサイトにアップロードし、そのリンクを公開していた男性(46歳)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕した。(中略) JASRACでは、海外のストレージサイトに音楽ファイルをアップロードすることで、違法行為を免れようとする確信犯であると判断。極めて悪質な行為であると訴えている。なお、JASRACによると、海外ストレージサイトにアップロードされたファイルへリンクした音楽配信が著作権法違反の疑いであるとして、逮捕者が出たのは今回が初とのことだ。
少し前の記事ですが、これを読むと、
(1)楽曲の音楽ファイルを海外のストレージサイトにアップロードした
(2)そのリンクを公開していた
という2つの行為で逮捕したのかなと読めます。
上記(1)の行為は、著作権法の条文そのまんま、「送信可能化権」(同法23条1項括弧書)の侵害ということでしょうね。
つまり、上記の海外ストレージサイトのサーバーは、「自動公衆送信装置」(公衆からの求めに応じて自動的に『公衆送信』(公衆によって直接受信されることを目的として行う送信)する機能を有するサーバーなどの装置。同法2条1項9号の4、同9号の5イ)に該当する。
そして、そのような海外ストレージサイトのサーバーに音楽ファイルをアップロードする行為は、「送信可能化」(自動公衆送信装置に情報を記録又は入力等すること。同法2条1項9号の5イ)に該当する、ということです。
また、このストレージサイトのサーバーが海外にあるか国内にあるかは、日本国内の不特定ユーザーにダウンロードさせている(サーバーから日本国内のユーザーに送信している)以上、重要ではないというのが一般の理解だろうと思います(海外ストレージサイトの管理者の行為も「自動公衆送信権」の侵害になると思います。有名なファイルローグ事件は2P2のファイル交換サービスでしたがインデックスリストを公開するセンターサーバーを海外に置いた例だったと思います)。
なお、この海外ストレージサイトのサーバーの管理者が自動公衆送信の行為主体(正犯)だとする見解(ファイルローグ事件やMYUTA事件の判決の理論)をとる場合は、このサーバーに音楽ファイルをアップロードしたユーザーは独立の行為主体ではなく無罪もしくは幇助犯にすぎないという議論もあり得ると思います。
また、もしこの海外ストレージサイトのサーバーが日本国内のユーザーによるダウンロードを許可しないようにしていれば、この海外ストレージサイトのサーバーは「自動公衆送信装置」(同法2条1項9号の5イ)に該当しなくなると思います。なぜなら、「自動公衆送信装置」と言えるためには、それが送信する相手は「日本の公衆」でなければならないでしょうから。
上記(2)のリンクを貼る行為は、それだけで「公衆送信権」の侵害になることはない(幇助になることはあり得る?・・・公衆送信権侵害罪が「継続犯」だとすれば)というのが一般の理解と思いますが、上記海外ストレージサイトのサーバーが日本の公衆に音楽ファイルを送信する「自動公衆送信装置」に該当することや上記(1)の行為の動機などを推認させる間接事実になるのだろうと思います。
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