空気を圧縮して熱を生み出すエコキュートと太陽熱で湯を沸かす太陽熱温水器を組み合せただけでは、通常は、「単なる寄せ集め」として、「進歩性」(「発明が容易にできたものではないこと」という、特許になるかどうかで最も争われる要件)が認められません。
でも、この組合せの仕方に一工夫を加えたら、進歩性が認められる場合があります。
例えば、デンソーと矢崎総業が今月(2010年2月)販売を開始した、天気予測機能付きの太陽熱エコキュート併用システム。
加湿センサなどからのデータから明日の天気を予測するプログラムを内蔵しているようです(ネットから天気予報情報を取り込んでも同じ)。
そして、プログラムが明日は晴れだと予測した場合は、その前夜(つまり今夜)はエコキュートを作動させないで、明日の朝になってから、その日の太陽熱を使って湯を沸かします。
他方、明日は曇りか雨だと予測した場合は、その前夜(つまり今夜)、割安の夜間電力を使ってエコキュートで湯を沸かしておきます、というものです。
明日は晴れだと予測した場合はその前日の夜はエコキュートを作動させないので、電気代が大幅に節約できます。
この発明は、「明日が晴れかどうかの天気予測に基づいてエコキュートと太陽熱温水器とを切り替え制御するように、両者を組み合わせたもの」(そのような切り替え制御手段を付加したもの)ですから、「ただの組み合せ(単なる寄せ集め)」とは言えないので、進歩性が認められると思います(というか、もう既に特許されている? 確認してません。なお、以上は私が下記のデンソーのホームページを見て、こういう発明なのかなと予想した内容ですので、実際の商品とは違っている可能性はあります)。
上図はこの装置を紹介しているデンソーのホームページからの引用です。
http://www.denso.co.jp/ja/news/newsreleases/2009/090727-01.html
以下に、このホームページ中の、この装置の紹介文の一部を引用しておきます。
"空気の熱"と"太陽熱"、2つの再生可能エネルギーをベストミックス
本システムは、"空気の熱"を利用するエコキュートと、"太陽熱"を利用するソーラーシステムを組み合わせた、2つの再生可能エネルギーによる給湯システムです。(中略)
•「天候予測機能」と「給湯使用量学習機能」によってムダなエネルギー利用を抑制
本システムは、天候を予測する天候予測機能でソーラーシステムの集熱器から集熱できる熱量を予測するとともに、1日の給湯使用量を学習する機能でご家庭に応じた最適な給湯量を計算しますので、エネルギーのムダを省き、エコキュートの給湯効率を向上させることが可能です。
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