1.第1の事例
先の出願は「出願人は甲のみ、発明はaのみ、発明者はAのみ、」、
後の出願は「出願人は甲のみ、発明はa+b(部分優先)、発明者はAとB(例えばA,Bとも甲の従業員で、Bは「+b」の発明者)」という場合、
国内優先権の主張は可能か?
(答え)
可能。国内優先権主張の要件として「発明者の同一」は条文上要求されていないため。
2.第2の事例
先の出願は「出願人は甲のみ、発明はaのみ、発明者はAのみ」、
後の出願は「出願人は甲と乙、発明はa+b(部分優先)、発明者はAとB(例えばAは甲の従業員、Bは乙の従業員で「+b」の発明者)」という場合、
国内優先権の主張は可能か?
(答え)
(1)できない。国内優先権主張の要件として「後の出願時における出願人の完全一致」が要求されているため。
すなわち、特許法41条1項本文は「特許を受けようとする者は、・・・その者が特許・・・を受ける権利を有する・・・先の出願・・・に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。」と規定しているところ、「優先権を主張することができる『特許を受けようとする者』」(=後の出願の出願人)と、「『優先権の基礎となる、先の出願に記載された発明』について特許を受ける権利を有する者」(=先の出願の出願人)とは、条文上『その者』が『特許を受けようとする者』を意味することから、完全に一致する必要がある。
(2)但し、後の出願の前に、先の出願の出願人を「甲のみ」から「甲と乙」に変更(出願人名義変更)しておけば、「『後の出願時』における出願人の完全一致」の要件は満たされることになる。
(追記: 後の出願の出願時の出願人は先の出願の出願人と同じ「甲のみ」としておいて、後の出願の後に、後の出願の出願人を「甲のみ」から「甲と乙」へ名義変更しても同じことになる。)