2013年01月19日

国内優先権についてのまとめ

国内優先権についてまとめたことを記しておきます。

1.第1の事例
先の出願は「出願人は甲のみ、発明はaのみ、発明者はAのみ、」、
後の出願は「出願人は甲のみ、発明はa+b(部分優先)、発明者はAとB(例えばA,Bとも甲の従業員で、Bは「+b」の発明者)」という場合、
国内優先権の主張は可能か?
(答え) 
可能。国内優先権主張の要件として「発明者の同一」は条文上要求されていないため。

2.第2の事例
先の出願は「出願人は甲のみ、発明はaのみ、発明者はAのみ」、
後の出願は「出願人は甲と乙、発明はa+b(部分優先)、発明者はAとB(例えばAは甲の従業員、Bは乙の従業員で「+b」の発明者)」という場合、
国内優先権の主張は可能か?
(答え) 
(1)できない。国内優先権主張の要件として「後の出願時における出願人の完全一致」が要求されているため。
すなわち、特許法41条1項本文は「特許を受けようとする者は、・・・その者が特許・・・を受ける権利を有する・・・先の出願・・・に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。」と規定しているところ、「優先権を主張することができる『特許を受けようとする者』」(=後の出願の出願人)と、「『優先権の基礎となる、先の出願に記載された発明』について特許を受ける権利を有する者」(=先の出願の出願人)とは、条文上『その者』が『特許を受けようとする者』を意味することから、完全に一致する必要がある。
(2)但し、後の出願の前に、先の出願の出願人を「甲のみ」から「甲と乙」に変更(出願人名義変更)しておけば、「『後の出願時』における出願人の完全一致」の要件は満たされることになる。
(追記: 後の出願の出願時の出願人は先の出願の出願人と同じ「甲のみ」としておいて、後の出願の後に、後の出願の出願人を「甲のみ」から「甲と乙」へ名義変更しても同じことになる。)

posted by mkuji at 18:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内優先権

2013年01月02日

明けましておめでとうございます(発明の歴史など)

明けましておめでとうございます。
正月はいつも興味のある発明のこと(発明の歴史・方法論など)を考えます。
今の発明の方法論としては、@昔ながらの個人の頭の中のヒラメキ(特にトイレや風呂に入っているときなど)、Aブレーンストーミングなどによる集団発明、BTRIZ(トゥリーズ)などの発明支援装置の利用などが代表的なものだと思います。
改良発明では上記AやBもかなり有効と思います。

最近は、一部の大手企業や中小企業がブレーンストーミングで発明を創出して商品化の予定がなくてもとりあえず出願するという動きもあるようですが、それは、つまり、企業が主婦などの個人発明家と同じような動きをしている(発明会社のような活動をしている)ということになりますね。

今から100年少し前の19世紀後半はエジソンやライト兄弟などの町の発明家が大活躍していた時代なんですよね。
あの頃は、まだ科学よりも技術がずっと先を走っていた時代で、ベンツ(3輪自動車・1885年)、ダイムラー(4輪自動車・1886年)、ベル(電話機・1876年)、エジソン(蓄音機・1877年。電灯・1879年)、ライト兄弟(有人動力飛行・1903年)など、当時活躍した発明家のほとんどは、大組織の人間ではなく科学者でもない町の技術者で、ライト兄弟などは小さな自転車屋をやりながら試行錯誤で飛行機を作っていた訳です。

それが、科学が技術を先導する「科学技術」の時代に徐々に変わって行き、今、社会的意味のある発明のほとんどは大企業や大学の研究所から生まれており、町の発明家の時代はとうの昔に終わったと言われるのは、確かにそうなんでしょう。
ただ、これからは、安価な3Dスキャナーや3Dプリンタの普及などで個人でも気軽にハード・メーカーになれる時代になる(クリス・アンダーソン著「MAKERS」)ということからは、また少し違った方向に進む可能性もあるのではと思います。

posted by mkuji at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 発明の歴史