2012年01月31日

橋下大阪市長の大阪都構想

今話題の橋下大阪市長出演の朝ナマ(1/28)の議論、私も録画して見ました。

大阪都構想は、要するに地域の成長戦略などの大きな政策(空中戦)は大阪都を含む広域(将来的には道州)でやり、医療・福祉・教育などのような市民の顔を見ながら地を這うようにやるべき仕事(地上戦)は30万人くらいの基礎自治体でやるべきだという内容だと理解しまして、大賛成なんですが、1つ疑問。

大阪市を複数の区に分けるといいますが、複数の「区」ではなく複数の「市」に分けた方がよいのでは。その方が、将来の道州制に移行しようとするとき整理しやすいのでは(つまり、道州制に移行するときは、都道府県はなくなり、道州と市だけになるので、区は中途半端な存在になるのでは)、と議論を見ながら感じました。

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posted by mkuji at 11:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 一言

2012年01月28日

プロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈についての知財高裁大合議判決

プロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈についての平成22年(ネ)第10043号(発明の名称「プラバスタチンラクトン及びエピプラバスタチンを実質的に含まないプラバスタチンナトリウム,並びにそれを含む組成物」)の知財高裁大合議判決の判決要旨が知財高裁のサイトに掲載されており、その冒頭の要約は次のとおりです(なお日経新聞の記事はこちら)。

いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲について,物の構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在しない(筆者注:不真正プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)場合は,その技術的範囲は,クレームに記載された製造方法によって製造された物に限定されるとした事例

○特許法104条の3に係る抗弁に関し,いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの要旨の認定について,物の構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在しない(筆者注:不真正プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)場合は,その発明の要旨は,クレームに記載された製造方法により製造された物に限定して
認定されるとした事例

(コメント)

プロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈手法(上記のように「物の構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情」が在る場合(真正プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)と無い場合(不真正プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)とに場合分けする解釈手法)そのものは、従来の知財高裁の立場をそのまま踏襲するものであり、別に目新しいものではありません。

それよりも注目すべきは、プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関してですが、文言侵害の判断のための技術的範囲の確定におけるクレーム解釈と、無効抗弁の判断のための発明の要旨認定におけるクレーム解釈とを統一したことではないでしょうか。

今後は、今回のプロダクト・バイ・プロセス・クレームに限らず、文言侵害の判断のための技術的範囲の確定におけるクレーム解釈と、無効抗弁の判断のための発明の要旨認定におけるクレーム解釈とを、あらゆる場面で統一していこうとしているのが、今の知財高裁なのでしょう。

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posted by mkuji at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | クレーム解釈

2012年01月20日

平成23年改正法による通常実施権の当然対抗制度について

平成23年改正法による通常実施権の当然対抗制度についてのメモです(参考)。

1.新法施行日(2012/4/1)以後に発生した通常実施権だけでなく、新法施行日(2012/4/1)より前に発生している通常実施権も、新法施行日(2012/4/1)以後に特許権を取得した新特許権者に対して、新法99条により当然に第三者対抗力を有する。
これは、平成23年法律第63号附則2条11号が、「新特許法・・・第99条の規定は、この法律の施行の際現に存する通常実施権にも適用する。」と定めているためです。

2.しかし、他方、新法施行日(2012/4/1)より前に発生している通常実施権は、その通常実施権の発生後で新法施行日(2012/4/1)より前に特許権を取得した新特許権者に対しては、新法施行日(2012/4/1)以後も、新法99条による当然の第三者対抗力は有しない。
この場合は新法99条は適用されないということです。新法99条の文言だけからは反対の解釈もできそうなんですが、そもそも新法99条は「新法施行以後において発生した通常実施権とその発生後(つまり新法施行以後)に特許権を取得した者との関係」を定めている(上記1の平成23年法律第63号附則2条11号はその例外として「新法施行より前に発生した通常実施権」にも新法99条の適用を認めただけ)から、本来的に「新法施行より前に特許権を取得した者との関係」は新法99条の範囲外という考え方によるようです。

3.新法施行日(2012/4/1)より前に発生している通常実施権は、その通常実施権の発生後で新法施行日(2012/4/1)より前に特許権を取得した特許権者からその特許権を新法施行日(2012/4/1)以後に譲り受けた新特許権者に対しても、新法99条による当然の第三者対抗力を有しない。
これは、上記2から、当たり前のことですね。

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posted by mkuji at 01:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 特許法改正

2012年01月15日

日本郵便の「ゆうメール」が商標権侵害で使用差止、日本郵便の方策は

ゆうメール:日本郵便、商標権訴訟で敗訴 東京地裁 2012年1月12日 毎日jp

 郵便事業会社(日本郵便)の「ゆうメール」と同じ名称でダイレクトメール(DM)サービスを展開する札幌市のDM企画・発送代行会社「札幌メールサービス」が商標権を侵害されたとして、日本郵便に広告物配布での名称の使用差し止めなどを求めた訴訟で、東京地裁(阿部正幸裁判長)は12日、請求を認める判決を言い渡した。日本郵便は即日控訴した。
 
 日本郵便の「ゆうメール」の10年度の引受数は約26億2158万通に上る。メール社は日本郵便がサービスを始める前の04年6月、「広告物の各戸配布」などのサービスに「ゆうメール」という名称を商標登録していた。
 
 日本郵便は「広告物に限らず、荷物も配達している」として、メール社が商標権を持つサービスとは内容が異なるので侵害に当たらないと主張。だが判決は、日本郵便が商品カタログやDMなどの広告物配送にゆうメールを利用できると宣伝しているなどとして、「サービスは類似している」と退けた。
 
 そのうえで判決は、旧郵政公社が05年1月、メール社の登録が既にあることを理由に商標登録出願を拒絶され、サービス分野を「鉄道や車両による輸送」などに変えて登録を受けた経緯を検討。「郵政公社から業務を引き継いだ日本郵便があえて『ゆうメール』の商標を使用している」と批判した。

本件についてはまだ判決書を見ていない(よって事実関係については私なりの「予想」がかなり入っています)のですが、現時点での感想・コメントを書いておきたいと思います。

札幌メールサービスは第35類の「各戸に対する広告物の配布」などについて「ゆうメール」の商標登録(第4781631号)を取得していた。これに対して、日本郵便側(郵便事業株式会社)は第39類の「鉄道・車両・航空機などによる輸送、メッセージや物品の配達」などについて商標登録(第4820232号)を取得していた。このような状況の下で、「日本郵便が『ゆうメール』の商標を使用して広告物の配達サービスを行うこと」が札幌メールサービスの商標権を侵害するかどうかが問題になったものです。

これは、根本的には、「広告印刷物を各戸へ配布・配達する」という現実の1つのサービスが、商標法上は、第35類の「各戸に対する広告物の配布」と第39類の「鉄道・車両・航空機などによる輸送、メッセージや物品の配達」との2つの役務に関連・該当してしまう(追記:第35類の「パンの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」にも該当します)ということから、問題が生じたものです。しかし、このようなことは、商標実務上では珍しいことではないのですね。例えば、自家製の焼き立てパンをその場で販売・飲食させる場合は、第30類の「パン(の製造販売)」と第43類の「パンなどの飲食物の提供」の2つに該当することになるので、この2つの商品・役務について商標登録しておかないと、十分な権利保護ができません。

以上を前提に、考えたことを書いておきます。

1.まず、札幌メールサービスが商標登録した第35類の「各戸に対する広告物の配布」には、「広告物の発送」と「広告物の配達」が含まれると思います。そして、後者の「広告物の配達(外注を含む)」は、日本郵便側が商標権を取得している第39類の「鉄道・車両・航空機などによる輸送、メッセージや物品の配達」にも該当する行為となりますので、札幌メールサービスが顧客との契約の中で「広告物の配達(外注を含む)」をも請け負ってそれを履行していたとすれば、日本郵便側の商標権を侵害しているのではないかという問題も生じると思います(もしそうなら、日本郵便側は商標権侵害を理由とする反訴を提起してクロスライセンスなどに持ち込むことができます)。
しかし、札幌メールサービスは、第35類の「各戸に対する広告物の配布」についての商標権を既に取得しており、この第35類の「各戸に対する広告物の配布」には「広告物の配達」も含まれるとすれば、札幌メールサービスの行為は自らの商標権により適法性が確保されているということになるのでしょう(商標権は、特許権のような単なる禁止権ではなく、専用権なので)。

2.次に、本件差止め判決を受けた日本郵便側の採り得る方策ですが、日本郵便は、少なくとも第39類の「鉄道・車両・航空機などによる輸送、メッセージや物品の配達」について「ゆうメール」の商標登録を取得しているのだから、「ゆうメール」の紹介パンフレット中から「広告物の配布もできます」という表示を全て外すようにすれば、商標権侵害はなくなり、「ゆうメール」の使用が可能となるのではないでしょうか。
つまり、日本郵便は、「印刷物の配達を依頼されるときその印刷物の中身が広告かどうかは一切関知しない、印刷物その他の物品の配達を行うだけだ」という立場を表明しておけば、その行為は第39類の「鉄道・車両・航空機などによる輸送、メッセージや物品の配達」についての商標権の範囲内である(第35類の「各戸に対する広告物の配布」とは関係ない)として適法性を獲得できるのではないでしょうか。
これは日本郵便側が直ぐにでも取り得る対策です(ただ、そうすると営業上のデメリットが大きいのでなかなか踏み切れないでしょうね)。

3.また日本郵便側の方策としては、札幌メールサービスの第35類の「各戸に対する広告物の配布」についての「ゆうメール」の商標登録を取消又は無効にすることも考えられます。
調べたところ、日本郵便は、第35類の「各戸に対する広告物の配布」などについて「ゆうメール」を商標出願中です(商願2010−046830 現在、拒絶理由通知に対して補正書・意見書などを提出している段階)ので、その気でいると思います(追記:実際に既に無効審判請求をしているようですね)。
まず、もし札幌メールサービスが「各戸に対する広告物の発送」を(直近3年以上)行っていないのなら、不使用取消審判請求(商標法50条)で商標登録の取消が可能です(実際上、この可能性はないでしょうが)。

また、商標登録の無効審判請求(商標法46条)も考えられます。無効理由としては、例えば商標法4条1項7号の公序良俗違反(日本郵便の「ゆうメール」は公益的な事業なのでそれと混同する名称の使用は公序良俗に反する)が考えられますが、日本郵便は国が株を持っているとしても民間企業なので、この理由は少し苦しいかなと思います。

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posted by mkuji at 17:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 商標

2012年01月04日

文化を変えた発明たち(銀板写真の発明)

 1839年にフランスのルイ・ダゲールが発明した「銀板写真」は、瞬く間に肖像写真として広く普及しました。その結果、当時のステイタスであった肖像画は見捨てられ、絵画産業は壊滅状態に陥りました。その後、パリの画家たちは、写真とは違う絵画独自の表現方法を模索し、1874年、第1回印象派展を開催し、印象主義を掲げました。

 この「銀板写真」のように社会や文化を大きく変えた発明というのはそんなに多くありませんが、やはり発明に関わる多くの人たちは、「世の中を変える発明」を目指していると思います。近年の例では、ウォークマン、カラオケ、インターネット、携帯電話、電子マネー、iPhone、SNSなどでしょうか。

 ダゲールは元は画家だったのですが、ウォークマンのアイデアを井深大氏と一緒に出した盛田昭夫氏やiPhoneなどを世に出したスティーブ・ジョブズも純粋な技術者ではなかった点は、面白い共通点かなと感じます。

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posted by mkuji at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 発明の歴史

2012年01月03日

あけましておめでとうございます

今年2012年はマヤ暦で最後の年になっているとテレビで言ってました。後で調べたら、正確にはマヤ文明で使われた長期暦の187万2000日の周期が今年12月で終わり新しいサイクルに入るということのようですが。今年は日本の成長率が(震災の反動などで)主要国中最高となるという予測もある一方で、今年に入って直ぐにオームの警察庁長官狙撃犯ではないかと言われた平田容疑者出頭のニュースとか、今年も飛ばしてるなという感じで、どういう年になるのか、興味は尽きませんね。

このブログは、当初はいろんな発明、特に私が興味がもった基本発明(パイオニア発明)を中心に書いていきたいと思っていたのですが、最近は裁判例の記事ばかりになってますね。

しかし、昔から発明の歴史には興味がありましたので、世の中を大きく変えた(又は大きく変えそうな)発明については、ちょくちょく書いていきたいと思います。

まぁ本年もよろしくお願いします。

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posted by mkuji at 01:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 一言