最近同期の弁理士から10年ぶりにメールをもらいました。日本弁理士会の月刊誌「パテント」(2011年3月号)に「良い明細書を書く工夫−発明の捉え方」についての座談会が出ていまして、これに私も参加してたので感想をくれたのですが、クライアントとの仕事の進め方の関係が大きいのではという感想(後述)でした。
この座談会に出て感じたのは、発明の捉え方は、同じ弁理士でもいろいろな考え方があって大きく違うんだなというか、私はいろいろな考え方がある中でも少数派に属するんだなということでした。
私の場合、クライアントの発明者から発明の内容を聴取するとき、発明者の説明を聴き始める早い段階から、今回の発明は何かだけでなく、クレーム(特許請求の範囲)の全体の構成をどの要素とどの要素との組み合わせにするか、進歩性のありそうな部分は何処でそれをクレームの中でどう書くかを、頭の中で同時に一体として考えるようにしており、発明者に対しても説明の途中で割り込んでそのことを話したりします。
だから、発明者と打ち合わせをして、発明を一応捉えられたと思うときは、クレームの構成案もラフな形ですが出来上がって、それを発明者とも共有し合意したという状態になっているのが理想です(そうならないこともありますが)。
なお、上記のやり方は、クライアントが自分で先行調査をして進歩性がありそうだから出願したいと考えた発明(私の方はまだ先行調査の資料は見ていない発明)とか私の事務所に調査を依頼されるなどして私が調査資料を見た後の発明について、打ち合わせをする場合です。これに対して、まだクライアントも私も先行調査をしていない発明については、いきなりクレーム案まで考えるのは無駄なので、大体の内容を聞いた後は調査の話などをするようにしていますが、その場合でも「進歩性がありそうな部分」は何処かを発明者と話し合います(そうしないと調査ができません)。
結局、弁理士にとって発明とはクレームそのものだと私は思っているのですね。
逆に言うと、クレーム作成が終わったときが発明を捉える作業が終わったときだと私は考えています。
その意味で、例えばクレームの記載スタイル(五月雨式とか、・・と・・と式など)は弁理士によっていろいろ異なっているのですが、その記載スタイルが発明の捉え方に影響を及ぼすことも少なからずあると私は考えています。
このような考え方に対しては、技術者(発明者)の発明と弁理士がクレームで表現する発明とは別のもので、弁理士は、まずは技術者の発明を十分に把握し、その後で、それと同じか別の発明をクレームに表現するのだという考え方があり、弁理士ではこのような考え方の人が多いだろうと思います。
私も「技術者の発明と弁理士がクレームで表現する発明とが別のもの」となることはあり得る(特に中間処理などの段階で)と思うので、発明とクレームについての考え方はそんなに違っていないと思います。ただ、発明の把握とクレーム作成との順番や方法が違うのでしょう。
というか、私の場合は、クライアントとの関係で実際に上記のような方法での仕事の進め方をやっているというだけのことかなとも思います。発明の捉え方の方法の違いは、弁理士の発明やクレームについての考え方の違いから出てくることもあるでしょうが、それよりも、クライアントとの実際の仕事の進め方の関係から結果的にそうなっているという面が大きいのかなと思います。
まぁ、私の場合は、上記のような方法で今までやってきましたし、これからもそのようにやっていくつもりです。
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この座談会に出て感じたのは、発明の捉え方は、同じ弁理士でもいろいろな考え方があって大きく違うんだなというか、私はいろいろな考え方がある中でも少数派に属するんだなということでした。
私の場合、クライアントの発明者から発明の内容を聴取するとき、発明者の説明を聴き始める早い段階から、今回の発明は何かだけでなく、クレーム(特許請求の範囲)の全体の構成をどの要素とどの要素との組み合わせにするか、進歩性のありそうな部分は何処でそれをクレームの中でどう書くかを、頭の中で同時に一体として考えるようにしており、発明者に対しても説明の途中で割り込んでそのことを話したりします。
だから、発明者と打ち合わせをして、発明を一応捉えられたと思うときは、クレームの構成案もラフな形ですが出来上がって、それを発明者とも共有し合意したという状態になっているのが理想です(そうならないこともありますが)。
なお、上記のやり方は、クライアントが自分で先行調査をして進歩性がありそうだから出願したいと考えた発明(私の方はまだ先行調査の資料は見ていない発明)とか私の事務所に調査を依頼されるなどして私が調査資料を見た後の発明について、打ち合わせをする場合です。これに対して、まだクライアントも私も先行調査をしていない発明については、いきなりクレーム案まで考えるのは無駄なので、大体の内容を聞いた後は調査の話などをするようにしていますが、その場合でも「進歩性がありそうな部分」は何処かを発明者と話し合います(そうしないと調査ができません)。
結局、弁理士にとって発明とはクレームそのものだと私は思っているのですね。
逆に言うと、クレーム作成が終わったときが発明を捉える作業が終わったときだと私は考えています。
その意味で、例えばクレームの記載スタイル(五月雨式とか、・・と・・と式など)は弁理士によっていろいろ異なっているのですが、その記載スタイルが発明の捉え方に影響を及ぼすことも少なからずあると私は考えています。
このような考え方に対しては、技術者(発明者)の発明と弁理士がクレームで表現する発明とは別のもので、弁理士は、まずは技術者の発明を十分に把握し、その後で、それと同じか別の発明をクレームに表現するのだという考え方があり、弁理士ではこのような考え方の人が多いだろうと思います。
私も「技術者の発明と弁理士がクレームで表現する発明とが別のもの」となることはあり得る(特に中間処理などの段階で)と思うので、発明とクレームについての考え方はそんなに違っていないと思います。ただ、発明の把握とクレーム作成との順番や方法が違うのでしょう。
というか、私の場合は、クライアントとの関係で実際に上記のような方法での仕事の進め方をやっているというだけのことかなとも思います。発明の捉え方の方法の違いは、弁理士の発明やクレームについての考え方の違いから出てくることもあるでしょうが、それよりも、クライアントとの実際の仕事の進め方の関係から結果的にそうなっているという面が大きいのかなと思います。
まぁ、私の場合は、上記のような方法で今までやってきましたし、これからもそのようにやっていくつもりです。
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