2011年02月03日

韓国のデザイン保護法(意匠法)の改正

旧正月で日本に遊びに来ていた韓国弁理士と会ってたのですが、韓国では、EU各国が中心に加盟している分類に関するロカルノ協定に加入した関係で、デザイン保護法が大幅に改正され来年1月から施行されるそうです。

その改正内容が今の日本の意匠法から見るとぶっ飛んだ内容で驚いたのですが、ロカルノ協定の分類(第32類)の中には、物品と離れたロゴ、グラフィックシンボル、キャラクター、アイコンなどの形状・物品性のないものも含まれているため、結局、これらの物品から離れたデザインも意匠登録できるようになるそうです。意匠法を専門にやっている人には既知のことかもしれませんが、私は初耳でびっくりしました(物品を離れて登録できるということは意匠法の根本が変わるということなので)。

また、韓国では、意匠権の権利範囲についても、今までは日本と同じく「物品(物品の部分を含む)と一体化したデザイン」が登録の対象であることから意匠権の権利範囲もその物品だけに限られていたのが、今回の改正により登録した物品以外の物品にも権利が及ぶ(例えば、食器のコップのデザインについて登録した意匠権の効力が家電製品のデザインにも及ぶ)ようになるそうです。ホントかなという感じです。

今の日本の意匠法でも、商標権や著作権との保護対象の切り分けがしばしば議論されています。無理に切り分けなくても重畳的に保護できるところはしてよい訳ですが、一応の区別があります。例えば、実用品や量産品については、美術工芸品など純粋美術と同視し得るものだけを著作権の保護対象とし、それ以外は意匠権の対象とするとか。逆に、これは意匠の定義規定があるからなのですが、意匠権の保護対象は必ず特定の物品と一体化したデザインに限られ、物品を離れたデザインは意匠権の保護対象にならないので著作権や商標権による保護を検討するしかないなど。

それが、韓国の改正法のように、意匠の登録対象や権利範囲について「物品」の制約を取っ払って広げていくと、商標権および著作権との重畳的保護・重複適用がすごく拡大することになります。そうなると、今までの切り分けについての学説の議論の相当部分が無意味化するでしょうね。まぁだから法改正するなということではないですが。

ところで、会った弁理士は金という人なのですが、ちょっと聞いてみたら、韓国では金という姓の人が40%以上、金、李、朴の3つの姓だけで75%以上だそうです。そして、同じ金という姓の中にもルーツにより多数の「派」があって、それは各人の戸籍に記載されているそうです。そして、数年前に民法が改正されるまでは、同じ「派」の人間同士は結婚できないとされていたそうです。遺伝が理由なのでしょうが少しやりすぎというか封建的な感じですが、聞いてみないとなかなか内情は分からないなと感じました。

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