シーズ(種)主導型の発明に多いですが、基本的な発明であればあるほど、実用化・商品化までに時間が掛かるという面があります。
2010/9/19付け日経新聞の「天才の夢、100年経て実用化」という記事にそういう発明が紹介されていました。
以下の4つの例が挙げられていました。
第1の例は、電気自動車(EV)の車輪の中に設置される、インホイールモーター(IWM)。車輪にモーターを内蔵する構造だと、動力が直接に車輪に伝わるので、シャフトなどが不要になり、動力の伝達効率が高くなりますし、車輪を直角に回動させての横移動なども可能になります。しかし、このIWMは、今から110年前の1900年に、既に、独ポルシェの創業者であるフェルディナント・ポルシェが製作(試作?)していたそうです。
第2の例は、離れた場所から家電製品やEVに電力を送る、磁気共鳴方式の無線給電。無線給電は今ホットな技術分野ですが、磁気共鳴方式の無線給電は、今から110年前頃の1900年頃、既に、クロアチア出身の電気技師のニコラ・テスラ(交流発電・送電の発明で有名)が発明していたそうです。
第3の例は、現在主流の交流送電に対する直流送電。この直流送電は、遠距離送電では効率が劣るという欠点が高電圧に耐えられる制御用半導体の開発などで克服され、400kmを超えると交流送電より有利とされ、最近になって、中国やブラジルなどで建設中の大規模送電網に採用されました。この直流送電も、既に、1870〜1880年代に活躍したトーマス・エジソンが提唱していました。
第4の例は、1903年に世界初の有人動力飛行に成功したライト兄弟が考え出した、翼をたわませて飛行機を操縦する「たわみ翼」。従来の航空機は補助翼がバランスをとって旋回する方式ですが、最近のNASA(米航空宇宙局)が計画している未来の飛行機は、飛行条件に応じて翼の表面や形状を変える方式で、「たわみ翼」の考え方を取り入れているそうです。
このように、パイオニア発明の中の相当数は、発明から50〜100年以上後に実用化・商品化されます。
ということは、こういう発明は、発明して直ぐに特許出願しても収益には結びつかない訳で(特許期間は出願日から20年だから)、少なくとも商品化の時期が20年より後になるのが確実な発明については、発明して直ぐに特許出願しても法律的な意味はないでしょう(マスコミの話題にしてもらうなどの事実上の意味はあるでしょうが)。
ベスト・シナリオとしては、20年内に実用化できない発明は、発明してもしばらく秘蔵しておいて、商品化が20年以内に実現すると見込まれる時期になってから、そのときに先行技術調査をして、まだ誰も出願していないなら出願する、ということでしょうね。ただ、こういう、秘蔵している間に誰も思いつかないような発明は少ないでしょうけどね。
つまり、本当に価値のある発明なら、発明しても直ぐに出願しないで秘蔵しておいたら、その間に他人が同じ発明をして先に出願してしまう可能性が極めて高いでしょう。逆に、秘蔵している間に誰も思いつかないような発明は、そもそも価値がない(売れない)ということだと思います。
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以下の4つの例が挙げられていました。
第1の例は、電気自動車(EV)の車輪の中に設置される、インホイールモーター(IWM)。車輪にモーターを内蔵する構造だと、動力が直接に車輪に伝わるので、シャフトなどが不要になり、動力の伝達効率が高くなりますし、車輪を直角に回動させての横移動なども可能になります。しかし、このIWMは、今から110年前の1900年に、既に、独ポルシェの創業者であるフェルディナント・ポルシェが製作(試作?)していたそうです。
第2の例は、離れた場所から家電製品やEVに電力を送る、磁気共鳴方式の無線給電。無線給電は今ホットな技術分野ですが、磁気共鳴方式の無線給電は、今から110年前頃の1900年頃、既に、クロアチア出身の電気技師のニコラ・テスラ(交流発電・送電の発明で有名)が発明していたそうです。
第3の例は、現在主流の交流送電に対する直流送電。この直流送電は、遠距離送電では効率が劣るという欠点が高電圧に耐えられる制御用半導体の開発などで克服され、400kmを超えると交流送電より有利とされ、最近になって、中国やブラジルなどで建設中の大規模送電網に採用されました。この直流送電も、既に、1870〜1880年代に活躍したトーマス・エジソンが提唱していました。
第4の例は、1903年に世界初の有人動力飛行に成功したライト兄弟が考え出した、翼をたわませて飛行機を操縦する「たわみ翼」。従来の航空機は補助翼がバランスをとって旋回する方式ですが、最近のNASA(米航空宇宙局)が計画している未来の飛行機は、飛行条件に応じて翼の表面や形状を変える方式で、「たわみ翼」の考え方を取り入れているそうです。
このように、パイオニア発明の中の相当数は、発明から50〜100年以上後に実用化・商品化されます。
ということは、こういう発明は、発明して直ぐに特許出願しても収益には結びつかない訳で(特許期間は出願日から20年だから)、少なくとも商品化の時期が20年より後になるのが確実な発明については、発明して直ぐに特許出願しても法律的な意味はないでしょう(マスコミの話題にしてもらうなどの事実上の意味はあるでしょうが)。
ベスト・シナリオとしては、20年内に実用化できない発明は、発明してもしばらく秘蔵しておいて、商品化が20年以内に実現すると見込まれる時期になってから、そのときに先行技術調査をして、まだ誰も出願していないなら出願する、ということでしょうね。ただ、こういう、秘蔵している間に誰も思いつかないような発明は少ないでしょうけどね。
つまり、本当に価値のある発明なら、発明しても直ぐに出願しないで秘蔵しておいたら、その間に他人が同じ発明をして先に出願してしまう可能性が極めて高いでしょう。逆に、秘蔵している間に誰も思いつかないような発明は、そもそも価値がない(売れない)ということだと思います。
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