企業法務戦士の雑感さんの2010/6/21付けエントリに同日付け日本経済新聞・法務面の「仮想空間 新ルール模索」の記事に対する感想が載ってました。
私も日経新聞を取ってるので読んでみましたが、確かに、かなり混乱した内容だと感じました。
疑問な点をいくつか書いておきます。
まず第1に、この記事の中の「(アメーバピグでは)他の利用者との取引や仮想商品の創作はできないうえ、行動は同社の規約に縛られる。」という部分。
実際の規約を確認してませんが、「仮想商品の創作はできない」という表現が気になります。もし「仮想商品の創作はできない」というのが「仮想空間では発明やデザイン(意匠)や著作物の創作をしてはならない、しても権利は発生しない」という意味なら、そのような規約の規定はその限りで無効(強行法規違反)となると思います。まぁ、ここでの「仮想商品の創作はできない」というのは「商売をしてはいけない」という意味なんでしょうが、少し誤解されやすい表現かなと思います。
第2に、この記事の中の「オリジナル商品の創造と商品コピーがともに仮想空間で起きていれば、基本的にその紛争は仮想空間を運営する会社の規約に従うことになる。」という部分。
これは、その仮想空間に参加(メンバー登録)するときに規約を承認しているのだからその規約に従うのが原則という意味ならば当然のこと(任意規定に関する限り法律より契約が優先する)と思いますが、それは仮想空間だろうと現実空間だろうと同じなので、あえて言うほどのことではないと思います。その規約が公序良俗や強行法規に反する場合はその規約の規定がその限りで無効とされて著作権法などの法律が適用されますが、まぁ当たり前のことです。
第3に、上記第2の部分に続く「だが、現実世界で創作されたオリジナル商品に基づいて、仮想空間でコピー商法が行われた場合、あるいはその逆の場合について、現在の法律やルールは想定していない。」という部分。
しかし、「現実世界で創作されたオリジナル商品に基づいて、仮想空間でコピー商法が行われた場合」、及び、その逆の「仮想世界で創作されたオリジナル商品に基づいて、現実空間でコピー商法が行われた場合」は、そのコピーが無断で行われたのなら、現在の法律が適用されて、特許侵害や著作権侵害などとして民事・刑事責任が追及されること(つまり、現在の法律の想定内であること)は当たり前でしょう。
なお、上記第1、第2の場合も含めて仮想空間の場合、何処の国の法律が適用されるのかという準拠法の問題、何処の国の裁判所に訴えればよいのかという裁判管轄の問題はあると思います(ユーザーの居住地の法律・裁判所によるのかサーバーの所在地の法律・裁判所によるのかなど)。
アメーバピグや初音ミクなどのいろいろな事例を網羅しようとした反面で法律の基本が抜け落ちてるような感じというのがこの記事を読んだ印象です。
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私も日経新聞を取ってるので読んでみましたが、確かに、かなり混乱した内容だと感じました。
疑問な点をいくつか書いておきます。
まず第1に、この記事の中の「(アメーバピグでは)他の利用者との取引や仮想商品の創作はできないうえ、行動は同社の規約に縛られる。」という部分。
実際の規約を確認してませんが、「仮想商品の創作はできない」という表現が気になります。もし「仮想商品の創作はできない」というのが「仮想空間では発明やデザイン(意匠)や著作物の創作をしてはならない、しても権利は発生しない」という意味なら、そのような規約の規定はその限りで無効(強行法規違反)となると思います。まぁ、ここでの「仮想商品の創作はできない」というのは「商売をしてはいけない」という意味なんでしょうが、少し誤解されやすい表現かなと思います。
第2に、この記事の中の「オリジナル商品の創造と商品コピーがともに仮想空間で起きていれば、基本的にその紛争は仮想空間を運営する会社の規約に従うことになる。」という部分。
これは、その仮想空間に参加(メンバー登録)するときに規約を承認しているのだからその規約に従うのが原則という意味ならば当然のこと(任意規定に関する限り法律より契約が優先する)と思いますが、それは仮想空間だろうと現実空間だろうと同じなので、あえて言うほどのことではないと思います。その規約が公序良俗や強行法規に反する場合はその規約の規定がその限りで無効とされて著作権法などの法律が適用されますが、まぁ当たり前のことです。
第3に、上記第2の部分に続く「だが、現実世界で創作されたオリジナル商品に基づいて、仮想空間でコピー商法が行われた場合、あるいはその逆の場合について、現在の法律やルールは想定していない。」という部分。
しかし、「現実世界で創作されたオリジナル商品に基づいて、仮想空間でコピー商法が行われた場合」、及び、その逆の「仮想世界で創作されたオリジナル商品に基づいて、現実空間でコピー商法が行われた場合」は、そのコピーが無断で行われたのなら、現在の法律が適用されて、特許侵害や著作権侵害などとして民事・刑事責任が追及されること(つまり、現在の法律の想定内であること)は当たり前でしょう。
なお、上記第1、第2の場合も含めて仮想空間の場合、何処の国の法律が適用されるのかという準拠法の問題、何処の国の裁判所に訴えればよいのかという裁判管轄の問題はあると思います(ユーザーの居住地の法律・裁判所によるのかサーバーの所在地の法律・裁判所によるのかなど)。
アメーバピグや初音ミクなどのいろいろな事例を網羅しようとした反面で法律の基本が抜け落ちてるような感じというのがこの記事を読んだ印象です。
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