2010年03月27日

「知財コンサル」について



相互リンクしてるThe・知財部員が往く!さんのブログからの引用です。



先週末は、知財コンサルシンポジウム2010に参加するべく、六本木まで行ってきました。(中略)


全体的な印象として、去年以上に事業支援色が強いように感じました。(中略)


つまり、知的財産というよりは、より広義な知的資産(企業文化、人材なども含む概念)に対するコンサルティングであると。(中略)


そして、個人的にも、この方向性(知財っぽくない方へという意味)が、知財コンサルの正しい在り方であるという気がします。(中略)


そうすると、経営戦略という、知財よりはもっと広い視点でコンサルティングにあたることが求められるわけです。


その観点からすれば、真に必要なのは、知財が必要なのか、知財をどう使うのか、ということを経営的視点からアドバイスできる人ということになりますね。


逆に言えば、弁理士等の知財の専門家は必ずしも知財コンサル向きでは無いということです。(中略)


なんだか、「知財コンサル」という言葉自体がナンセンスだという気がしてきますね・・・。


既存のコンサルティングと、あえて分けて考える必要がどこにあるのか?



私は知財コンサルについては知らない方なのですが、このブログを見て少し考えました。


知財コンサルは、弁理士はもう少し経営のことも考えて仕事しなくちゃ、というスローガンとしては大きな意味があると思います(ただ、この場合は「知財コンサル」よりも「コンサル知財」と呼んだ方がいいでしょうね^^;)。


だけど、それ以上に、本当にコンサルタントになると、現実にはもう弁理士でなくなってしまうと思います(「弁理士」の定義にもよりますが、ここでは、弁理士とは明細書作成などの権利化業務を行う者とします。また、弁理士でなくなってしまっても別に全く問題ないと思います)。


コンサルと弁理士は求められる役割や場面(経営のレベル)が明確に違うと思います。なぜなら、特許庁に出す明細書や意見書をしこしこ書いてる人たちをコンサルとは呼べないと思うし、逆に、コンサルが明細書や意見書を書いて特許庁に提出することを顧客が望んでいるとは思えないからです。


そもそも、コンサルと弁理士は相反する性格を持っているのではないでしょうか。


同じ人間が同じ顧客に対してコンサルと権利化業務(弁理士)を同時に行うことは利益相反の問題を生じさせると思います(システム会社がコンサルを行う場合と同じですね)。一般に、利益相反の問題は、一つの事務所の中でコンサル部門と権利化部門を別にするとかコンサル部門を別会社にすれば形式的にクリアされるんでしょうが、少なくとも同じ顧客に関して同じ人間が2つの部門に同時に関与するのはよくないし、コンサルの過程で得た秘密情報と権利化業務で得た秘密情報とを2つの部門の間で互いにやり取りできない体制にする必要があると思います(追記:なお、利益相反は顧客保護のためですので、顧客がコンサル部門と権利化部門とで秘密情報をやり取りしてもいいと了解すれば問題はなくなります。また一方の業務を終了した後に他方の業務というように、同時並行で行わない場合は、問題ないと思います)。


他方、同じ人間が、或る顧客Aに対してはコンサルを行いながら他の顧客B(顧客Aと競合しない場合。競合する場合は一般的な利益相反の問題が生じます)に対して権利化業務(弁理士)を行う場合は、少なくともそれだけでは利益相反の問題はないと思います。


ただ、このように同じ人間が或る顧客Aに対してコンサルを行いながら他の顧客B(顧客Aと競合しない顧客)に対して権利化業務(弁理士)を行うというスタイルを実現するために、1人の人間がコンサルと権利化業務という2つの全く性格の違う仕事の能力を同時に高めていくことはすごく難しいと思います。


「コンサルと弁理士との両方」やるというのも不可能ではないでしょうが、現実的には、一部を除く多くの人にとっては、「コンサルじゃないけど発明・特許相談+αくらいならできる弁理士」(権利化業務で手数料を稼ぐ者)か、「(別に要らないんだけど箔付けで)弁理士の資格も持ってるコンサル」(権利化業務ではなくコンサルで手数料を稼ぐ者)かの、どっちかしかないんじゃないでしょうか。





追記: 上の何箇所か加筆訂正してます。上で書いた「利益相反」の問題が生じる事例を以下に幾つか記しておきます。(2010/3/28)


事例1: 顧客B社を上得意先とし、その顧客B社からの特定の技術分野Cの発明の特許出願の仕事でその売上の8割を上げている弁理士Aが、顧客B社から、顧客B社が事業を行っている全ての技術分野(弁理士Aが受任している特定の技術分野Cを一部に含む)に関して、これからどの技術分野の特許出願をどのくらい増やし又は減らしていくべきかを、世の中の技術動向や出願動向を踏まえながら助言して欲しいというコンサルを依頼されたとき、弁理士Aは適正なコンサルができるでしょうか。


事例2: コンサルを受任している弁理士Aが、顧客B社の経営陣から「まだ経営陣だけの守秘事項だが、1ヶ月後に、技術分野Cの事業から全て撤退することを、社内外に公表する」という情報を示されていた場合において、顧客B社の知財部の担当者から技術分野C(1ヶ月後に撤退を公表する技術分野)に属する発明について「緊急なので3週間以内に特許出願して欲しい」と依頼されたとき(しかも、その発明は、顧客B社の事業の中でのみ利用できるもので、他社への譲渡やライセンスは考えられないものであったとき)、その依頼を受けるべきか。仮に依頼を断るとした場合、どのような理由で断るのか。


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2010年03月26日

新聞販売店の生きる道



先日のNHKスペシャル「激震 マスメディア 〜テレビ・新聞の未来〜」、ネット上での事前の盛り上がりに反して、実際に見た番組は低調な議論に終始して、既存メディアの旧態依然ぶりが明らかになったという、逆の意味で有益?な内容でした。


旧来のマスメディアである新聞とテレビとでは、まず新聞の経営危機が現実のものとなりそうで、しかも紙から電子新聞へ徐々に移行していくとなると、もう新聞販売店の未来は真っ暗となりそうです。でも、よく考えてみるとそうでもないと思います。


新聞配達は、毎日、地域の決まった家に戸別配達する仕事ですので、配達する家が毎日一定ではない宅配便や郵便とは少し違います。また、宅配便や郵便とは配達の時間帯(早朝)が大きく違います。他方、郵便や宅配も同じ点ですが、毎月の集金などで、地域の家の人と日常的な接点を持つ仕事です。また、家が密集している地域ではどの家がどの人かはなかなか分からないのですが、それをきちんと整理記憶して間違わずに配達するというのは貴重なノウハウと思います。


だとすると、こういう特性やノウハウを生かして、巡回・訪問介護サービス、お年寄りへの食事宅配、スーパー・コンビニの御用聞きサービスなどに進出したりそれらと連携したりすることは十分に可能と思います。


近い将来、介護や小売の大手が全国の新聞販売店を組織化する展開もあり得るのかなと思います。


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2010年03月20日

名誉棄損の慰謝料は著名人かどうかで差別されるべきでない



毎日jp 2010/3/17 八百長疑惑裁判:賠償を3割以下に減額 東京高裁判決



大相撲の八百長疑惑を報じた週刊現代の記事で名誉を傷付けられたとして、日本相撲協会と北の湖前理事長が発行元の講談社や筆者らに1億1000万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は17日、1審に続いて講談社側の賠償責任を認め、賠償命令額を1540万円から440万円に大幅減額した。藤村啓裁判長は「名誉棄損の慰謝料は著名人であるかどうかで左右されるべきでない。1審の認定額は高すぎる」と述べた。(中略)


高裁は「記事が真実であることの証明がない」として名誉棄損を認定。前理事長への賠償額について「地位や収入に現実の損害が生じているとは認められず、精神的苦痛に対する慰謝料のみを認めるべきだ」として330万円と算定した。協会についても「興行実績悪化などの実害はなく、記事に対する対応や力士への調査などで不利益を受けたに過ぎない」と判断し、賠償額は110万円とした。



最近、相撲協会などの著名人の週刊誌に対する名誉毀損損害賠償訴訟で、高額の慰謝料が問題になっていました。


全国誌の出版社でも財務的には決して裕福とは言えないので、高額の慰謝料が認められると、出版社の経営を揺るがすことになり、言論の自由を萎縮させる結果になるからです。また、自社に不利な記事を書いた個人ジャーナリストを大企業が高額の損害賠償で訴えるなどの「恫喝訴訟」(自社に不利なことを書かないように恫喝する手段としての訴訟)も表現の自由を萎縮させるものとして問題となっていました。


本来、慰謝料は精神的苦痛に対する賠償ですが、実際には、裁判の中で証明できなかった財産的損害をも慰謝料の中に潜り込ませるという調整弁の機能をも持たされていたので、事実上、経済的損害が大きい著名人は一般人に比べて慰謝料が高額になる傾向があったのです。


そのような業界慣行(馴れ合い)を、今回の東京高裁の裁判官が覆した、と言えると思います。


言われてみれば、著名人かどうかで精神的苦痛に対する慰謝料の額が大きく違うというのは、人間の価値を平等とする憲法の原則に反している訳で、至極まっとうな考え方と思います。


ただ、「著名人か一般人か」が、慰謝料を算定する際の一つの考慮要素になることは認めてよいと思います。個々的に見て、著名人の方が高くなることも、一般人の方が高くなることもあってよいと思います。


例えば、著名人の場合は一つの雑誌の記事だけで多くの国民に注目されてしまうという点で慰謝料額を高くする方向もあり得るし、逆に、もともと著名人なのだからそのような被害は覚悟の上だろうし、マスコミへの露出が増えて人気が出ることもあることからは低くする方向にいってもよいと思います。他方、一般人の場合は、一つの雑誌記事だけでは全国的に注目されなくて一部の人たちが知っただけとしても、それでイジメられたり地域社会で生活しずらくなったなどの事情があれば高額の方向に行くべきと思います。


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posted by mkuji at 23:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑談

音楽ファイルの海外ストレージサイトへのアップロードで逮捕



CNET Japan (吉澤亨史) 2010/03/02 海外ストレージサイトで違法音楽配信、初の逮捕者



 北海道警察本部生活安全部生活経済課および北海道札幌方面中央警察署は3月1日、社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)が管理する楽曲の音楽ファイルを海外のストレージサイトにアップロードし、そのリンクを公開していた男性(46歳)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕した。(中略) JASRACでは、海外のストレージサイトに音楽ファイルをアップロードすることで、違法行為を免れようとする確信犯であると判断。極めて悪質な行為であると訴えている。なお、JASRACによると、海外ストレージサイトにアップロードされたファイルへリンクした音楽配信が著作権法違反の疑いであるとして、逮捕者が出たのは今回が初とのことだ。



少し前の記事ですが、これを読むと、


(1)楽曲の音楽ファイルを海外のストレージサイトにアップロードした


(2)そのリンクを公開していた


という2つの行為で逮捕したのかなと読めます。


上記(1)の行為は、著作権法の条文そのまんま、「送信可能化権」(同法23条1項括弧書)の侵害ということでしょうね。


つまり、上記の海外ストレージサイトのサーバーは、「自動公衆送信装置」(公衆からの求めに応じて自動的に『公衆送信』(公衆によって直接受信されることを目的として行う送信)する機能を有するサーバーなどの装置。同法2条1項9号の4、同9号の5イ)に該当する。


そして、そのような海外ストレージサイトのサーバーに音楽ファイルをアップロードする行為は、「送信可能化」(自動公衆送信装置に情報を記録又は入力等すること。同法2条1項9号の5イ)に該当する、ということです。


また、このストレージサイトのサーバーが海外にあるか国内にあるかは、日本国内の不特定ユーザーにダウンロードさせている(サーバーから日本国内のユーザーに送信している)以上、重要ではないというのが一般の理解だろうと思います(海外ストレージサイトの管理者の行為も「自動公衆送信権」の侵害になると思います。有名なファイルローグ事件は2P2のファイル交換サービスでしたがインデックスリストを公開するセンターサーバーを海外に置いた例だったと思います)。


なお、この海外ストレージサイトのサーバーの管理者が自動公衆送信の行為主体(正犯)だとする見解(ファイルローグ事件やMYUTA事件の判決の理論)をとる場合は、このサーバーに音楽ファイルをアップロードしたユーザーは独立の行為主体ではなく無罪もしくは幇助犯にすぎないという議論もあり得ると思います。


また、もしこの海外ストレージサイトのサーバーが日本国内のユーザーによるダウンロードを許可しないようにしていれば、この海外ストレージサイトのサーバーは「自動公衆送信装置」(同法2条1項9号の5イ)に該当しなくなると思います。なぜなら、「自動公衆送信装置」と言えるためには、それが送信する相手は「日本の公衆」でなければならないでしょうから。


上記(2)のリンクを貼る行為は、それだけで「公衆送信権」の侵害になることはない(幇助になることはあり得る?・・・公衆送信権侵害罪が「継続犯」だとすれば)というのが一般の理解と思いますが、上記海外ストレージサイトのサーバーが日本の公衆に音楽ファイルを送信する「自動公衆送信装置」に該当することや上記(1)の行為の動機などを推認させる間接事実になるのだろうと思います。


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posted by mkuji at 01:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 著作権

2010年03月18日

ふき掃除機能付き掃除機



パナソニックの「ふき掃除機能付き掃除機」のプレスリリースより引用します。



フローリングの菌や微細塵までふき掃除※1できる


掃除機をかけた後でもフローリングに残っているざらつきは、静電気で床面についた微細塵などが原因です。


本製品は、床用ノズルに従来※2の「イオンプレート」に加え、「イオンローラー」を新搭載。マイナスイオン発生量を従来※2の約2倍にすることにより、従来※2は取り切れなかった菌やミクロサイズの微細塵まで強力に除去※1し、ふき掃除をしたようにフローリングをきれいに仕上げます。また、好評の「エアダストキャッチャー」搭載のダブルドライブノズルが、高い集塵性を発揮するとともに、床上30cmゾーンのハウスダストも同時に掃除します。



この「ふき掃除機能」は、要するに、フローリング床面(マイナスに帯電)に強く付着しているゴミや細菌(プラスに帯電)を、静電気を利用して床面から引き剥がしやすくした上で、ノズルで床面を擦ってゴミや細菌を床面から引き剥がして吸引する、というもののようです。


具体的には、掃除機の先端ノズルの内側にフッソ樹脂製プレート(イオンプレート)とナイロン製ブラシを配置し、それらを互いに摩擦させることにより、多量のマイナスイオンを発生させてゴミや細菌の静電気を抑えて床面から剥がし易くした、というものです。


この「マイナスイオンを発生させることによる、ふき掃除機能」そのものは以前からあって、今回の新商品はその改良版(マイナスイオン発生量を従来の約2倍にした)というだけのようです。


下図は上記プレスリリースからの引用で、マイナスイオン発生によるふき掃除機能の原理図です。


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posted by mkuji at 13:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 白物家電

2010年03月17日

文化庁と特許庁の統合を検討(枝野行政刷新相)



2010/3/14読売新聞 文化庁と特許庁の統合必要…枝野行政刷新相



 枝野行政刷新相は14日、さいたま市内で講演し、著作権や特許などの管理に関し、文化庁と特許庁の統合も含めた省庁再編が必要だとの考えを示した。


 刷新相は「著作権は文化庁、特許は特許庁で担当している。同じ視点で同じように保護しなければならないが、役所がバラバラになっていていいのか」と述べた。そのうえで、高度な技術力が必要な電子機器や、アニメなどの文化芸術を主要な輸出産業として育成するためにも、国内での著作権管理などの一元化が必要だと強調した。



文化庁と特許庁の統合、専門家にとってはそんなに便利になるとは思えないでしょうが、一般ユーザーには相当便利になるのではと思います。


コンピュータプログラムでは特許と著作権が絡みますし、博多人形などの伝統工芸品では意匠権と著作権が絡みます。キャラクタの保護は著作権ですがこれを商標出願することは多いですし、小説やアニメのタイトルやキャラクタ名称を保護するのは現状では商標登録や不正競争防止法でしょうが著作権で保護できないかという議論も昔は一部であったように思います。


一般ユーザー、特に中小企業や個人には、消費者庁のようにワンストップサービスで問合せなどができるようになれば便利でしょう。


文化庁と特許庁だけでなく、不正競争防止法の担当部署(経産省の中)も統合することを考えるべきと思います。有名な商標などのフリーライド(ただ乗り)の事件(ディズニーなどの名称を勝手に店舗の看板に使用する場合など)は不正競争防止法と商標権が、新規な商品デザインの模倣の事件は不正競争防止法と意匠権が、営業秘密(製造ノウハウ、設計図、顧客リストなど)の漏洩事件は不正競争防止法と特許、著作権などが一緒に絡んできますので。


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2010年03月10日

無料ビジネス



今日のクローズアップ現代の「無料ビジネスの舞台裏」、途中から見ただけでしたが、印象に残りました。


グーグルが米国でやってる無料の電話番号案内サービスは、多数のユーザーがタダで入力してくれる膨大な音声のパターンを収集・データベース化して今後の音声認識サービスに利用する狙いだろうということでした。こういうビジネスモデルはグーグル日本語入力(無料の検索エンジンに入力された膨大な文字とその読みを収集・データベース化して日本語入力システムを提供)も同じですね。


米国ベンチャーが医療機関に提供している無料の電子カルテサービスは、後で個人情報を除いた診療情報(病名、処方薬、薬の副作用、診療経過など)をデータベース化して製薬会社や保険会社に販売して儲けるのが狙いとのことです。


これらは、ポータルサイトの「他社への有料広告枠の販売」というビジネスモデルではなく、「自らの将来の儲け」を元手にして現在の無料サービスを提供するというビジネスモデルです。


それ以外に、多数のユーザーを無料で集めながら(フリー)一部のユーザーから課金する(プレミアム)、これにより一部の顧客からの収益で残りの多数の顧客への無料サービスを支えるという「フリーミアム」(「フリー」の著者クリス・アンダーソンの造語)のビジネスモデルも紹介されていました(スカイプ、アイテム課金で儲ける無料ゲームなど)。


もともと「ビジネスモデル」という言葉が流行し始めたのはネットでの無料ビジネスが始まってからのような気がします。どこで儲けるのかという問題意識からビジネスモデルが注目され始めたのでは。違うかもしれませんが(携帯電話を無料でばら撒くビジネスもかつてありましたからネットだけではないですね)。


「1円」とは全く違う「タダ」「無料」の魅力について、行動経済学の学者が解説していました。


近年のデフレ基調は、隣りの中国の影響(グローバル化)だけでなく、ネットの影響(無料サービスの台頭など)も大きな要因なんでしょうね。


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posted by mkuji at 21:53| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑談

2010年03月07日

利から義の時代へ?



昨日(2010/3/6)の朝日新聞beに、今求められる人物に関する戦国武将の人気アンケートの結果が載っていました。


このアンケート結果によるランキング1〜10位は順に、織田信長、上杉謙信、真田幸村、直江兼続、徳川家康、伊達政宗、武田信玄、豊臣秀吉、竹中半兵衛、石田三成となっていました。


この結果の中で目立った現象は、豊臣秀吉だけがかつての1〜2番から8番へと大きく順位を下げていたことです。


この現象について、有識者が、利から義を重んじる人が増えたことが原因ではないかとコメントしていました。


確かに、豊臣秀吉といえば、上司である織田信長を要領よくヨイショして可愛がってもらって立身出世したというイメージがあって、高度成長時代はいかにも望ましい社員像という感じだったんでしょうが、今の時代ではどうかなと感じますね。


また、当時日の出の勢いの徳川家康に反抗して豊臣側に付き大阪夏の陣で戦死した真田幸村の人気が3位に上昇したことに関連して、有識者コメントで、「坂の上の雲」を目指した時代や高度成長時代のような上り坂ではない下り坂になったときの身の処し方を今の日本人が求めているのではともありました。


徳川300年の後半の下り坂の時代の人々の生き方が参考になるのかなと、この記事を読みながら思いました。


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posted by mkuji at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑談

2010年03月05日

コロンブスの卵のような発明(無給水加湿機能付きエアコンと蒸気レス炊飯器)



大手メーカーによる発明や商品には、優秀な研究者による先端的な専門知識から生まれたものというイメージがありそうですが、実際には、主婦でも思い付くことができそうな、コロンブスの卵のような発明(発想力が決め手になった発明)や商品も、結構あります。


例えば、かなり前から商品化されている「無給水加湿機能付きエアコン」(ダイキンのエアコンうるるとさらら)。


エアコンをかけるとどうしても室内が乾燥するため、肌など健康に悪い、ウイルスの活動を活発化させるなどの問題がありました。


それで、戸外の室外機に除湿機を搭載して除湿運転をして外気の水分を集め、それをホースで室内側に送り込んで室内に加湿空気を供給するという無給水加湿機能付きエアコンのアイデアが生まれたそうです。


こういうアイデアは、後から聞いてみれば簡単にできそうに思えるけど、実際には思い付くのはなかなか難しいと思います。


これと同じように発想力が決め手になった発明に「蒸気レス炊飯器」があります。


三菱電機の蒸気レスIHですが、かなり前(2009年2月)から商品化され、今もあちこちで話題にされてますね。


炊飯中に出る蒸気を冷却して水に戻して専用の水タンク内に収容することにより、蒸気を出さないようにするというアイデアです。下図はこの製品のパンフレットから。


f:id:mkuji:20100208143841j:image


蒸気が出ないので置き場所の自由度がぐっと広がる、蒸気口がないので保温効率が向上する、蒸気と一緒に出ていたご飯の旨み成分を逃がさなくできる、などのメリットがあるようです。


聞いてみれば当たり前のようですが、昔から「炊飯器は蒸気を出すものだ」という固定観念があるので、「蒸気を出さないようにしよう」という発想はまず出てこないと思います。


「根本を疑う」「基本的な概念を問題にする」姿勢が大切だと感じますね。


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posted by mkuji at 23:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 発想力の発明